菊次郎の夏 | 悲しみの中に温かさが残る作品

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悲しみの中に温かさが残る作品

 

何度も金曜ロードショーなどで放映されている、北野武監督作品である。

駄目な大人が母の元を訪ねる為に共に旅をする話であるが、この駄目っぷりはいっそ爽快であり、笑いを誘う。

ギャンブルをしたいが為に、子供から金をまきあげる。勝った金は飲み屋で使うし、その間に少年は変態に連れ去られそうになるしと、終始ドタバタな展開が繰り広げられている。

最初はよそよそしかった二人の関係は、共に片親であるといった事実が明らかになった辺りから徐々に深まっていくのだが、それにしてもこの駄目な大人。態度がころりと変わるあたり、素直すぎて彼こそ正に少年なのではと思えるような可愛さを感じる。

美しい夏の情景と、久石譲作曲のBGMがとてもよくあっており、穏やかな夏の思い出が蘇ってくるようだ。

演出も力が入っており、少年が悪夢にうなされる場面などはよくこれを表現したなと素直に関心してしまう。実際に、子供の頃に熱を出すと怖い夢を見るといった事はよくある事で、サイケデリックな演出に北野作品だなぁと感じた。

旅の途中で出会う人との交流にも心温まるが、この映画は子供の頃を思い出させる要素が沢山散りばめられており、懐かしくなる。

(ライター 伊藤 史帆)

映画情報

監督 北野武
脚本 北野武
公開 1999年
製作国 日本
上映時間 121分

予告編

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